心の鍵はここにある
そう言って先輩は私から腕を解いて顔を赤らめた。
右手で自分の口元を覆い、照れている姿を見て私も照れた。
「なぁ、こんな目と鼻の先に住んでるし、週末実家に帰った後なんだけど、もしご両親に挨拶させて貰えて許可を貰えたら一緒に暮らさないか?」
先輩の突拍子な発言に、照れなんて吹っ飛んで驚いた。
いやいや。それは話が飛び過ぎるでしょう。想いが通じ合ったばかりなのに、嫁入り前な身で同棲?
「……なんてな。いくらなんでも早すぎるか。
でも、そのくらいの気持ちでいるっていう事は、知っていて欲しい。
……さてと、今日はもう帰るよ。明日も迎えに来るから。明日は家を出る前に連絡するよ」
先輩はイタズラ成功と言わんばかりの顔をして私の顔を覗き込み、啄む様なキスを落として行くと、立ち上がった。
先輩に遅れて立ち上がった私は、顔が熱くなる位に赤面している。
そんな私を見て先輩は、しまりのないデレた表情で、名残惜しそうに部屋を出て行った。
……ヤバい。私も壊れそうだ。
先輩が出て行った後、またまたしばらくの間呆然として動けなかった。