言わなくていいから
チケットをさらっと買ってきた理玖がももちゃん、俺、玲奈の順に渡していく。


「ん」


と俺の目の前に手が出された。


「なんだよ」


「さすがにお前は奢りじゃない」


「ついてきてやってんだけど」


「そんなケチなの?航大くんは」


と急に口調を変えてくる。


「ったく」


「はい、理玖。
1枚このくらいでしょ?」


俺の目の前にあった手の上にチケット代を置いたのは玲奈だった。


「え?」


「私は今日デートじゃないから」


涼しい顔をして財布も仕舞い返金は認めないという感じである。


玲奈が出すなら俺も出さないわけにはいかないだろう…


「しゃーないな…」
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