言わなくていいから
「私が元彼の話したことある?」


「聞いたことない、かな」


ももちゃんが自信なさげに答える。


「そりゃそうよ、彼氏なんかいたことないから」


諦めたようにハハハと笑っている。


「だから言ってるじゃん、あんたは当たり前に大事にされて、気にかけてもらって、あんただけさ…ずるいじゃんか…」


玲奈の目にためていた涙が流れ出した。


「何?その顔。
2人して、同情?私可哀想?本当に、大嫌いだよ」


スタスタと歩いて玄関に向かう玲奈。


「もも?
悪かったね、変なことして
せいぜい理玖と仲良くしなね。」


聞いたことないほど、優しい声だった。


「玲奈、」


まだ外には出てないだろうから玄関まで追いかける。


さすがにさっきまで泣いてたし、情緒も…心配だ。


「大丈夫か?」
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