言わなくていいから
声をかければとんでもないスピードで振り返られた。


「え?どした?」


みるみるうちに涙を流す玲奈。


「え?まじで、どうした?」


「あ、いや、ごめん
あの…玄関まで見送ってくれると思ってなくて、ごめんね、ありがとう」


言葉をつまらせながら話し、涙を流しながら本当に嬉しそうに笑っている。


「待って、さすがにそんなに泣いてたら外には出せないわ、」


もう少し話がしたい。


今まで見れなかった素のようなものが垣間見えた今、玲奈の話が聞きたい。


手首を掴んで家の中に引き戻す。


「ももちゃん
ごめん先帰ってくれる?理玖呼べばいいから」


「あっ、うん
大丈夫だよ、1人で帰れる」


そうして部屋の中は2人になった。


この部屋に2人きりなんて今までよくあった。
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