言わなくていいから
「玲奈?」


俯いて表情が見えない。


「知ってる?コウはね、私が帰る時に玄関までも来てくれたこと無かったんだよ」


「え、マジで?ごめん」


「ううん、でも、それが私にとって普通だからね、コウが悪いんじゃないよ」


話し方から何やらいつもと違う。


「玲奈?俺お前のこと知りたいんだけど」


「知ってどうするの」


「わかんないけど、大事にしてあげたい」


「あんたも大概ずるいよね…」


さっきからなんとなく気づいているけど、俺はどうしようもなく玲奈のことが愛おしくて仕方ない。
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