1ページホラー
愛憎たっぷりのコーヒー
(21才、大学生)

今日も行きつけのカフェに来ている。

店内は落ち着いた雰囲気で、コーヒーの香りとジャズの音に満たされている。店にはオーナーが一人で人もまばらだが20年も続いているらしい。
チェーン店だとアルバイトのだべりがうるさいから嫌いだ。ここはオーナーが常連とたまに喋ってる位で居心地が良い。

今日もブレンドを頼み、レポートに取り組む。ここで書いたレポートはいつも高評価だ。この店の空気が俺に合っているんだろう。

ただ、この店で一つ気になってる事がある。それはこのコーヒーの淹れ方だ。ここのオーナーは誰にもコーヒーを淹れている所を見せないのだ。

注文をすると、カウンターの奥に引っ込み淹れたコーヒーを持ってくる。
どの位でコーヒーを持ってくるのか何回か測ったら約10分だった。混んでいても空いていても同じだったし、他の人の注文の時も測ったが同じだった。その日の分を作っておき、温めて持ってきてるのだろうか。

まぁ、良いか。考えてもわからないし。美味しいコーヒーには違いない。

後日、自称飲食店経営者の男性が妻を殺してすり潰しながら処理していた事がニュースになった。殺人は時効だったが、死体遺棄等の疑いで逮捕された。

出てきたら、またコーヒーを淹れてほしい。
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