1ページホラー
コートと女
(女性35才、会社員)
お得意さんを回り、その日は直帰だからとそのまま行きつけのバーに行った。
なんでかいつもよりお酒がまわり、へべれけになった。そのおかげでバーを出て家に帰る途中の電車でコートを忘れたことに気づいた。
どうりで寒いはずだ。
最寄り駅に付き、バスももうない時間になっていた。バスがないと歩きで30分かかる。寒い。タクシーもなく、歩くことを決意した時、ガサッと足に何か当たった。高級なブティックの袋だった。中には買ったばかりと思われるコートらしきものが入っていた。
ラッキー。酔っていた私はまともな判断ができなかったのだろう。そのコートを羽織って帰路に着いた。
そのコートは暖かかった。忘れたコートよりも着心地がいい。なんだか誰からに抱きしめられているような錯覚陥る位だった。
自宅まで半分ほど来ただろうか。コートが暑くなってきた。それに重さも感じる。最初は酔っ払って気持ち悪くなったのかと思ったが違う。酔いは歩くうちに醒めていた。
どちらかというと酔っ払った友達を介抱して、おぶっている感覚に近かった。
おぶっている……。ふと、カーブミラーに映る自分を見た。
コートを着た女が私におぶさっていた。
きゃあっと私は着ているコートを脱いで自宅まで帰った。その日は朝まで眠れなかった。
翌朝、バスがコートを脱いだ所に差し掛かった時、確かに私は見た。昨日私におぶっていた女がそこに立っていた。女はバスがそこを通り過ぎるまで私を睨み続けていた。
お得意さんを回り、その日は直帰だからとそのまま行きつけのバーに行った。
なんでかいつもよりお酒がまわり、へべれけになった。そのおかげでバーを出て家に帰る途中の電車でコートを忘れたことに気づいた。
どうりで寒いはずだ。
最寄り駅に付き、バスももうない時間になっていた。バスがないと歩きで30分かかる。寒い。タクシーもなく、歩くことを決意した時、ガサッと足に何か当たった。高級なブティックの袋だった。中には買ったばかりと思われるコートらしきものが入っていた。
ラッキー。酔っていた私はまともな判断ができなかったのだろう。そのコートを羽織って帰路に着いた。
そのコートは暖かかった。忘れたコートよりも着心地がいい。なんだか誰からに抱きしめられているような錯覚陥る位だった。
自宅まで半分ほど来ただろうか。コートが暑くなってきた。それに重さも感じる。最初は酔っ払って気持ち悪くなったのかと思ったが違う。酔いは歩くうちに醒めていた。
どちらかというと酔っ払った友達を介抱して、おぶっている感覚に近かった。
おぶっている……。ふと、カーブミラーに映る自分を見た。
コートを着た女が私におぶさっていた。
きゃあっと私は着ているコートを脱いで自宅まで帰った。その日は朝まで眠れなかった。
翌朝、バスがコートを脱いだ所に差し掛かった時、確かに私は見た。昨日私におぶっていた女がそこに立っていた。女はバスがそこを通り過ぎるまで私を睨み続けていた。