1ページホラー
確かにいた
(男性27才、会社員)

終電を逃して、新宿から高田馬場の線路沿いを歩いていた時の事だ。

西武新宿の側を抜ける時は賑やかだが、新大久保からはマンションが建ち並び人気はない。

夜でも街灯があるので暗くはなく、前には俺と似た様なサラリーマンもいる。実際、何回か歩いているので不安はなかった。

あと5分程で高田馬場の大きな交差点に差し掛かる所だった。

何故か道路を、しかも対向車線を歩いている男が向こうから歩いていた。

酔っ払いか?

そう思ったが、男の表情は素面そのものだし、服装もスーツでよれもない。ネクタイもきちんと締めている。まるでこれから出勤でもするかのようだ。

徐々に近づいてくる。

気味が悪かったが、何かするわけでもない。気にしないように通り過ぎようとした。二人がちょうどすれ違うタイミングで脇を車が通り過ぎた。

轢いた!と頭が真っ白になった。

が、車はそのまま通り過ぎた。ぶつかる音もなかった。思わず振り返ったがそこには誰もいなかった。
< 4 / 50 >

この作品をシェア

pagetop