愛しの彼女
「う、うわぁぁぁ」



なんと便器にひっそりと座る影…



決して怪奇現象ではない。


だってそこに座るのは…



「父さん…」



バクバクなる心臓に手をやりながら俺は深呼吸した。


「ごめん…」



気付かなくて…



父さんは少し震えながら顔を赤らめている。



俺は慌ててドアを開けて外に出た。


尿意もすっかり消え失せ、俺は階段をよろけながら上った。


申し訳ない気持ちでいっぱいだ。



「私が別れるって言ったら泣く〜?」



声でかっ!!


まだやってんのか…



あいつの無駄な存在感を父さんに分けてやりたいものだ…


トイレからなかなか出て来ない父を振り返りながらため息をついた。



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