愛しの彼女
パジャマのまま、ニューハーフのような叫び声と共に転がり落ちていく姉を俺は自分のベッドカバーを掴んで追った。



階段を駆け降りると姉は階段の途中でうつぶせで倒れ込んでいた。



ジャージ姿の姉の尻は食い込み、なんとも気の毒な姿になっていた。



俺はそんな姉とも認めたくない姿の姉に急いでカバーをかけた。



母さんはもう汗でテカッテカッに光る顔で、



「こ、これは…あの椿の下の娘で椿そっくりだけど椿じゃないの!」



新しい家族を増やしていた。


もちろん俺には姉は一人。妹もいない。



俺は姉ちゃんだか妹だか知らないが奴を担いで洗面所に向かった。
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