愛しの彼女
「あの…まだ妹さんにお会いしたことがないのですが」



麟輔の言葉に家族は冷や汗。



「あれよ、あれ…外国に留年したのよね…おほほ…」


母さん…それじゃただの深刻な問題になっちゃうよ…


「留学でしょ」



俺が小声で言うと母は更に笑い続けた。



麟輔はそれでいいのか…



「さ、食事にしましょうか」



母が立ち上がると、姉はいつもの定位置に着いてあぐらをかこうとした。



俺は姉の腕を引っ張った。


習慣とは怖いものだ。



「なによ?」



姉は俺に掴みかかって来たが…


「ま、待って…彼氏見てるよ」



その一言で冷静になり、



「ママ〜手伝うわぁ」



とキッチンへ向かった。
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