愛しの彼女
「あらぁ、あんた。納豆ついちゃってるじゃない」



タオルで納豆の糸達がここぞとばかりに糸をひいている。


おまけに大豆付きだ。



落胆する俺をにやにやしながら見ている姉。



どこまで腐ってんだよ…



姉のTシャツをよく見ればご飯粒があちらこちらに。


この姉ホントバカでご飯を日本昔話風にかき込んで食べるのだ。



子どもの頃からの癖だろう。


幼い頃からのいじめ、嫌がらせの復習に俺はあえてこのことについて指摘せずに来た。


外で恥をかけばいいんだ。


俺は心底それを願っている。


しかし、あの麟輔…



いつもフレンチやイタリアンばっかり行きやがって…


未だ姉が彼の前で醜態をさらしたことはないのだ。



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