日向ぼっこ

おじさんにキッと睨まれた。


え?あたしの格好…雨で濡れてて……はっ!もしかして透けてる?


胸元を見ると、案の定透けてて一気に顔が赤くなった。


慌てて手で隠す。


気まずい空気が流れた時、電車が止まった。


「ど、どけ!」


少し緩んでいたみたいで、手を力任せに振り払っておじさんがあたしを突き飛ばした。


「わっ、!」


ホームに前から転んでしまった。


「おい、待てよ!」


走って行ったおじさんにすぐ追いついて、また捕まえる彼。


抵抗するおじさんの手を捻り上げて素早くおとなしくさせる彼をぼーっと見つめる。


騒ぎに気づいた駅員さんに痴漢を引き渡した彼が不意にあたしの方を振り返った。

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