日向ぼっこ

「大丈夫か?」


転んだままで、立ち上がってなかったあたしに気づいて手を差し伸べてくれた。


そこで、ようやくちゃんと顔を見た。


色素の薄い瞳、スッと通った鼻。


ミルクティー色の髪、背が高くてスタイルもいい彼。


こんなに顔が整ってる人…初めてみた。


「おい?」


ぼーっと彼の顔を見つめるあたしを不思議そうに見て、顔を覗き込んできた。


ハッとして、慌てて返事をする。


「あっ、すみません!ありがとうございます!」


差し出された手を取った瞬間、ドクンっと心臓が聞いたこともないリズムで体全体に心地よく響き始めた。


…なに?


この感じ。


知ら、ない…。


わかんないけど顔が熱い。


ドクン、ドクンと心臓が痛い。


「なにしてんだ?いい加減立てよ」


彼がため息をついて、ぐいっとあたしの手を引いて立たせようとする…けど。


「ぎゃっあ!」


ドンッ。


女の子らしくもない声で、あたしはまた転けた。

< 5 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop