本日よりニセカノはじめました
自宅までの道はいつもと変わらないはずなのに、彼と手を繋いで歩くだけで、映画のワンシーンに飛び込んだかのような気分だった。
(私ってこんなに、狡猾だったんだなあ)
憧れていた彼と今一緒にいる。
それだけでこの先どんな罰を受けようとも構わないとさえ考えた。
流れ落ちてきそうな星空の下、このまま家に着かなければいいのにと、浅はかなことを考えた。
願っても叶うはずもなく、到着してしまったことにため息が出そうになる。
「ありがとうございました。」
私はすぐにお礼を言った。
目を合わすことはできないけれど、心を込めて深々とお辞儀した。
チラッと彼を見ると少し戸惑ったような顔をしていた。
沈黙を破ったのは彼だった。
「家具と鍵付きの部屋空いてるから、俺の家に住
まない?」
( 、、、、、、)
「、、、、、え?!?!」