本日よりニセカノはじめました

自宅までの道はいつもと変わらないはずなのに、彼と手を繋いで歩くだけで、映画のワンシーンに飛び込んだかのような気分だった。

(私ってこんなに、狡猾だったんだなあ)


憧れていた彼と今一緒にいる。
それだけでこの先どんな罰を受けようとも構わないとさえ考えた。


流れ落ちてきそうな星空の下、このまま家に着かなければいいのにと、浅はかなことを考えた。





願っても叶うはずもなく、到着してしまったことにため息が出そうになる。

「ありがとうございました。」

私はすぐにお礼を言った。
目を合わすことはできないけれど、心を込めて深々とお辞儀した。


チラッと彼を見ると少し戸惑ったような顔をしていた。

沈黙を破ったのは彼だった。

「家具と鍵付きの部屋空いてるから、俺の家に住
まない?」


( 、、、、、、)











「、、、、、え?!?!」

< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop