極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
求愛
*
「桃子! こっち、こっち!」
待ち合わせをしていた駅前広場に着くと、そこにはすでに柴乃ちゃんの姿があった。私の姿を見つけて、ぶんぶんと大きく手を振っている。
「柴乃ちゃん」
私も小さく手を振り返して、彼女のもとへ駆け寄った。すると、私を目の前にした柴乃ちゃんが、自分の顔の前でパチンと両手を合わせる。
「桃子、昨日はごめん。彼氏と一緒にいてスマホぜんぜん見てなかった」
「うん。そうだろうなと思ってた」
「本当にごめん。吉田には私から報告したから」
顔の前で手を合わせて謝罪を続けている柴乃ちゃんの肩に、私は優しく手を添える。
「もういいよ、大丈夫だから」
ちなみに、“吉田さん”とは私が昨日食事をする予定だった、柴乃ちゃんの友人の男性だ。