極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
‟せっかく可愛いのに愛想がなくてもったいない”

‟せっかく美人なのに性格が地味でもったいない”

そう言われるたびに、私は自分の顔が嫌いになった。


「もしかして、笹崎さんのお母さんはモデルや女優でもしていたのかな? なんだかそんな感じの強いオーラが写真から伝わってくる人だけど」

「いえ。母は、一般の人ですよ」


千紘社長の言葉にさらっと答えながら、私はテーブルの上の空になったお皿を手に取り席を立った。

キッチンへ向かい、お皿を洗い終えると、お茶を淹れて再び戻る。


「すみません。千紘社長のお好きな紅茶がなくて」

「いや、構わないよ。ありがとう」


千紘社長は、熱いお茶にふぅふぅと息を吹きかけ、充分に冷ましてからゆっくりと口をつけた。一口の飲み終えると、私をじっと見つめる。

「それにしても、笹崎さんはどうしてこのアパートに?」

「え」


質問の意図が分からず首を傾げると、千紘社長は少し言いづらそうに口を開く。
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