極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
「笹崎さんの給料なら、もっといいところに住めそうだと思って。ここは少し狭そうだし、防犯面も心配だ。そこの窓、さっきから隙間風がすごいぞ」


そう指摘されて窓へ視線を移すと、確かに風が吹くたびに窓ガラスがガタガタと音をたて、隙間から室内に入り込んできた風が微かにカーテンを揺らしている。

でも、私にとってこれはいつものことなので、特に気にしていない。

たまに雨も一緒に入り込んでくるときがあるけど、そういうときは新聞紙をはさんだり、セロハンテープを貼ったりして応急処置をしている。


「それに、女性の部屋にしては物が少ないようにも感じるな」

「そうでしょうか」


またも千紘社長の指摘を受けて、私は部屋の中をぐるっと見渡した。

六畳の部屋にはテレビとチェスト、それからベッドに、今私たちが囲んでいるローテーブル。必要なものだけを揃えたこの部屋は、言われてみれば確かに物が少ないのかもしれない。
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