極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
あの日、追加のコピーを頼むために秘書室へ向かうと、少しだけ開いていた扉の隙間から奏介と笹崎さんの会話が聞こえてきた。

その内容が気になり、こっそりと盗み聞きしていたところを笹崎さんが不意に開けた扉が顔に当たってしまった。

そして、奏介の言う通り、笹崎さんを男と食事へ行かせたくないと思ったのは事実だ。でも、だからといってわざと残業になるよう仕組んだわけじゃない。

会議が延びたのは偶然だし、そのあと俺の仕事を手伝うと言ってくれたのも笹崎さんだ。

とはいえ、彼女がこのあと食事の約束をしていると知っていたのだから、本当は断ればよかった。でも、俺はできなかった。

このまま約束の時間が過ぎて欲しい。

そんな願いから、俺は笹崎さんに残業をさせてしまった。
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