極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
「そういえば、千紘は笹崎のどこに惹かれたんだ?」

「なんだよ、急に」

「好きになった理由をまだ聞いたことがないから気になった」


奏介は、蕎麦をつゆにつけると、するすると音をたてて啜った。もぐもぐと口を動かしながら、その視線は俺をじっと見つめて答えを待っている。


笹崎さんを好きになった理由、か……。


「初めて見たときにビビッときたんだ。‟この人だ”となぜか確信した」


そう呟くと、「なんだそれ」と奏介が軽く笑う。


「いわゆる一目惚れってやつ?」


そう問われて、俺は小さく頷く。


「そうかもしれない。でも、はっきりと好きだと自覚したのはたぶんあのときだ」

「あのとき?」

「笹崎さんが俺の秘書になって半年が経った頃。彼女との会話の中で、俺が何気なくぼやいたんだ。俺に近付く女性はみんな俺の家柄や財産、肩書きを目当てにする。俺の魅力はそれしかないんだって」

「ああ……まぁ、確かに千紘の歴代の彼女たちはひどかったからな」
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