極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
「――なるほどな」


俺の笹崎さんに対する想いを語り終えると、奏介は深く頷いた。

そのあとしばらく黙っていたが、「でも」と口を開いて俺を見つめる。


「笹崎には想いを伝えないんじゃなかったのか。千紘、前にそう言ってただろ」

「そのつもりだったんだけど……」


初めて笹崎さんを見たときから彼女に好意を寄せてはいたものの、積極的にアプローチをかけられずにいた。

社長である俺が、秘書である笹崎さんに好きだと伝えたら、真面目な彼女はきっと困惑するはず。そう思って、自分の気持ちを伝えるのには慎重になっていた。

それなのに、あの日。笹崎さんが男と食事へ行くと知って、頭の中が真っ白になった。


――取られる前に奪ってやる。


自分の中のそんな荒々しい感情に気が付いたあの夜、これまで隠していたはずの想いが暴走した。

結果、笹崎さんを自宅へ連れ込み、抱いてしまった……。
< 150 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop