極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました

「情けない……」


ぽつりと呟いた俺の声は、蕎麦茶プリンを運んできた店員の声に消されてしまった。


「まっ、うまくいくといいな」


不意に奏介の片手が俺の背中を強くたたく。


「そのためにも親友であるこの俺がしっかり援護してやるから安心しろ」

「できれば余計なことはしないでもらいたい」


たたかれた背中をさすりながら睨みつければ、奏介はわざとらしく俺から視線をそらした。そのまま、蕎麦茶プリンをスプーンですくうと、それを口へ運ぼうとした手をふと止める。


「笹崎は、今までの千紘の彼女たちとは絶対に違う。お前もそう思ったから、笹崎に惚れたんだろ。俺はお前の親友として、今度こそいい恋愛をしてもらいたいと思っているんだ」


それだけ告げると、奏介は蕎麦茶プリンを大きな口で頬張った。

今度こそいい恋愛をしてもらいたい……か。

俺だってそうなればいいと思っている。