極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
千紘社長の祖父であり、去年まで大鷹ホールディングスの会長を務めていた大鷹克爾(かつじ)前会長。確か、今年で八十歳。

年齢のわりに背筋がピンと伸びており、体格もよく、きれいな白髪はしっかりとセットされている。


「やぁ、笹崎くん。久しぶりだね」

「ご無沙汰しております」


すでに会長の座を退いてはいるものの、依然として貫禄のある姿に、私は背筋を伸ばして深く頭を下げる。


「さっそくだが千紘は何をしているのかな。少し話がしたいんだ」

「せっかくいらしていただいたところ申し訳ないのですが、社長はただいま外出をしております。おそらく十三時までには戻るかと」

「そうか。それなら待たせてもらうことにするよ」


そう言って、克爾前会長は慣れた足取りで廊下を進む。
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