極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
私の視線は時計へと向かった。

そろそろ千紘社長は戻ってくる頃だろうか。このまま戻りを待つか、それとも克爾前会長がお見えになっていると連絡を入れた方がいいだろうか。


「笹崎くんも座りなさい」


お盆を抱えたまま迷っていると、克爾前会長にソファに座るようすすめられる。断ることもできないので、「失礼します」と声を掛けてから、克爾前会長の対面に腰を下ろした。


「今日は、千紘に見合い話を持ってきたんだ」


克爾前会長は、ソファの下に置いていた紙袋からA4サイズの台紙をいくつか取り出すと、それをテーブルに並べ始める。


「千紘はどのお嬢さんが気に入るだろうか。笹崎くんはどう思う?」

「私でしょうか?」

「ああ。千紘に似合いの女性はこの中だとどのお嬢さんだろう。ぜひ君の意見が聞きたい」

「そ、そうですね……」


テーブルに並ぶ台紙はぜんぶで六枚。ということは、今回のお見合い候補は六人だ。
< 158 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop