極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
まずは右端に置かれた台紙に手を伸ばすと「失礼します」と断りを入れてから表紙を開いた。

そこには鮮やかな着物姿の二十代前半ぐらいの女性の写真があった。続いて、その隣の台紙を手に取ると、今度は清楚なワンピース姿の女性の写真。そのあとも残りの四枚の写真を順番に見ていった。

どの女性もさすが克爾前会長が千紘社長のお見合い候補として選んだだけはあり容姿端麗で、添えられたプロフィールを見ても家柄の良いお嬢様ばかりだ。


「今回もみなさま素敵な方々ばかりですね」


克爾前会長が、千紘社長にお見合い写真を持ってくるのは今日が初めてではない。私が秘書になってからこれまでにも数回ほどあり、そのたびになぜかお見合い候補の女性たちについての意見を求められてしまう。

けれど、千紘社長がどの女性を気に入るのかなんて私には分からないし、どの女性ともお似合いな気がするので一人には絞れない。

そもそも肝心の千紘社長はお見合いにはまったく興味がないようで、頑なに拒み続けている。
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