極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
あの日、千紘社長に告白をされて、すぐに答えられないでいると、考える時間をもらった。

でも、私の中ではすでにはっきりと答えが出ていた。すぐに答えられなかったのは、その場で断るのも失礼な気がしてしまったから。

私が千紘社長とお付き合いできるはずがない。結婚なんてムリに決まっている。

千紘社長にはもっとお似合いの女性がいる。彼は、お見合いを受けるべきなのだ。

だから私は、あの日の告白をしっかりと断らないと……。

そのとき、かちゃりと音をたててドアノブが回り、社長室の扉が勢いよく開いた。


「まだ五月なのに外はもう暑いな。笹崎さん、悪いんだけど冷たいお茶を……げっ」


現れたのは、グレーのスーツにサックスブルーのワイシャツ、それにネイビーのストライプ柄のネクタイを合わせた千紘社長。どうやら天野室長とのランチから戻ってきたらしい。

その視線は、応接用のソファに座る私をまずは確認する。次に、向かいに座っている克爾前会長の姿をとらえた。
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