極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
突然の祖父の来訪に千紘社長は入口でしばらく固まっていたが、一瞬で状況を理解したのか、すぐにくるんと背を向けて社長室から出ていこうとする。


「待て、千紘」


けれど、逃亡は失敗に終わり、克爾前会長に呼び戻されてしまった。


「大事な話がある。ここに座りなさい」

「じぃちゃん……」

「早く。座る」


克爾前会長の威圧感のある声に、観念した千紘社長がこちらに向かってきた。その足取りは重たい。


「じぃちゃん。頼むからもう勘弁してくれって」


困ったように頭をかいた千紘社長が、私の隣へ腰を下ろす。
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