極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
どうやら天野室長の話によると、克爾前会長は専属ドライバーが運転する車で奥様と一緒に病院へ向かう予定だったらしい。

その途中でここへ立ち寄ったものの、そろそろ診察の時間が近づいているため、駐車中の車で待っていた奥様が克爾前会長を呼びに来たそうだ。

天野室長から連絡を受けた私は、受話器を戻すと、すぐにその件を伝える。


「克爾前会長。今、受付に奥様がお見えになっているそうです。このあとの病院の診察時間に間に合わなくなるので、そろそろ帰りましょうとのことです」

「そうか。もうそんな時間か」


克爾前会長は、ちらっと時計に目をやると、膝に手を当てて「よっこらしょ」とソファから立ち上がった。


「下までお送りいたします」

「ありがとう、笹崎くん」
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