極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました

今はもう引退をしているが、克爾前会長も現役時代は今の千紘社長と同じような激務をこなしてきたので、彼の言い分も分かるのだろう。じっと口をつぐみ、何やら考え込んでいるのか、難しい表情を浮かべている。

すると、少ししてその視線が、私へと向けられた。


「そうだ、笹崎くん。君にお願いしたいことがあるんだが、受けてもらえるだろうか」


お願いしたいこと？


「はい。私にできることでしたら」


前会長の頼みを断るわけにはいかないので頷くと、克爾前会長がぱっと顔を輝かせる。


「君に、千紘の部屋の片づけをお願いしたい」

「えっ」


私が千紘社長のお部屋の片づけを？

その唐突なお願いに、思わず返事に困ってしまった。