極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
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その週の土曜日。
約束の時刻である十三時ちょうどに私は千紘社長のマンションを訪れた。
お部屋の前でインターホンを鳴らすと、白のワイシャツに紺のスラックス姿の千紘社長が玄関を開けて私を迎えてくれた。
着替えの途中だったのか、ワイシャツの裾がスラックスから飛び出ているし、髪にはまだ寝癖が残っている。
「本当に来てくれたんだ」
「はい。お約束しましたので」
ここへ来たのは、千紘社長と一夜を共にしたあの日以来。ふと記憶が蘇り、動揺しそうになる自分をなんとか抑える。
すると、玄関の扉を開けたまま千紘社長が私をじっと見つめていることに気が付く。
「社長、何か……?」
その視線が気になり問いかけると、目の前の彼はハッとしたように首を振る。
「あっ、いや、すまない。なんでもないんだ。ただ、いつもと笹崎さんの雰囲気が違うから」
雰囲気が違う?
もしかして、服装のせいだろうか。