極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
それから千紘社長は、寝癖をしっかりと直し、スラックスから飛び出ているワイシャツの裾もしっかりとしまって、スーツの上着を羽織ると、セミナーへ参加するため出掛けて行った。

その姿を見送ると、私はさっそく掃除に取り掛かる。

家から持参したエプロンをつけると、まずはリビング全体を見渡した。

ソファの上には洗濯済みらしい洋服と脱ぎ捨てたままの洋服が畳まれずに放置され、ダイニングテーブルには食事をするスペースがないほど大量の新聞が置かれている。

床には本や雑誌などが散乱していて、場所によっては足の踏み場がみつからない。

キッチンは普段から使用していないのかあまり汚れてはいないものの、シンクにはコンビニのお弁当の空き容器やペットボトル、使い終えたマグカップなどが置かれている。


「とりあえず、キッチンから進めよう」


千紘社長が戻るのは十六時頃。

それまでにこの荒れた部屋をピカピカに片づけたい。
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