極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
「ありがとうございます。ずっと大切にします」


ペンダントの桃の花の飾りをぎゅっと優しく握った。そんな私を千紘社長が優しい眼差しで見つめている。


「笹崎さん、誕生日おめでとう。二十七年前の今日に君が生まれて、俺と出会ってくれてありがとう……って、今のはちょっとクサいセリフだったかな」


千紘社長は片手を頭に添えて照れながら笑っている。


「……笹崎さん?」


すると、彼の顔から突然、笑顔が消えた。そのまま私の顔を心配そうに覗き込んでくる。


「どうした?」


そこで、ようやく私は気が付いた。


――自分が泣いていることに。


「すみません。泣いたりして……」


声が震えている。

同じく震えている両手で、止まらない涙を拭きながら、私はふと子供の頃の記憶を思い出していた。
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