極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました

ディナークルーズの日の千紘社長の言葉が忘れられない。


“君が生まれて、俺と出会ってくれてありがとう”


そんな優しい言葉を掛けてくれる千紘社長に、好きだと言ってもらえるなんて私は幸せ者だ。

あの日以来、千紘社長を意識するようになり、天野室長が言ったように気持ちが傾き始めている。


千紘社長の恋人になれたら……。


でも、そう思うたびに現実を突き付けられる。


不倫の末に生まれた私は、大鷹家の跡取りである千紘社長には釣り合わない。それに、もしもお付き合いを始めることになっても、私の出自を知れば絶対にまわりから反対される。


「まぁ、しっかり考えてみな。千紘とのことも、異動のことも」

「はい」


俯いたまま、私は頷いた。