極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
今夜は晴れていて風もなく、穏やかな夜空が広がっている。空気も澄んでいるのでよりいっそう東京タワーが輝いて見えた。すごくきれいだ。
そういえば、高校を卒業して上京したとき、初めて見に行ったのは東京タワーだった。展望台から、ビルが密集する様子を眺めた日を、まるでつい昨日のように思い出す。
東京に出てきたのは母に近付きたかったから。
あまり母のことを話したがらない祖母に母が通っていた大学を教えてもらい、同じ大学を進学先に選んだ。母は、私を生むために途中でやめてしまったけれど、私はしっかりと卒業をした。
就職してからは、母が働いていたクラブを探そうと思った。でも、手掛かりが何もなくて諦めた。
それが、まさかこんなに突然、母のことを知る人に出会えるとは思いもしなかった。
「笹崎さんの過去を初めて知ったよ」
前を歩いている千紘社長が不意に告げる。
そういえば、高校を卒業して上京したとき、初めて見に行ったのは東京タワーだった。展望台から、ビルが密集する様子を眺めた日を、まるでつい昨日のように思い出す。
東京に出てきたのは母に近付きたかったから。
あまり母のことを話したがらない祖母に母が通っていた大学を教えてもらい、同じ大学を進学先に選んだ。母は、私を生むために途中でやめてしまったけれど、私はしっかりと卒業をした。
就職してからは、母が働いていたクラブを探そうと思った。でも、手掛かりが何もなくて諦めた。
それが、まさかこんなに突然、母のことを知る人に出会えるとは思いもしなかった。
「笹崎さんの過去を初めて知ったよ」
前を歩いている千紘社長が不意に告げる。