極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
最近どうも食が進まない。

今日も、これなら食べられるだろうと思って注文した月見うどんを何口か食べただけで、それ以上は食べられなくなってしまった。

もしかして、梅雨の湿気を含んだじめじめとした空気と蒸し暑さに体調を崩してしまったのかもしれない。毎年、この時期は身体がだるく感じるから。


「じゃあそのうどんは私が食べてもいい?」

「うん、いいよ」


まだ半分以上も残っているうどんの入ったお椀を柴乃ちゃんへとずらすと、「さんきゅ」と彼女はさっそくうどんをすすり始めた。

それを見ていたら、なんだか急に気持ちが悪くなってしまい、とっさに手で口を覆う。


「桃子、どうした?」


すると、私の様子に気が付いた楓ちゃんが心配そうな表情で見つめてくる。


「気持ち悪いの?」

「うん。でも、大丈夫」


心配をかけたくなくてとっさにそう答えたものの、だいぶ気持ちが悪いかもしれない。
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