極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
「桃子は前にも貧血で倒れたんだから、あまり無理はしないでよ。体調が悪かったらきちんと休みな」

「うん。ありがとう」


楓ちゃんの言葉に頷くと、うどんをすすっていた柴乃ちゃんも慌てて私に視線を向ける。


「えっ、桃子。体調悪いの? 大丈夫?」

「大丈夫。ちょっと気持ち悪いだけだから」


ふたりに心配をかけないよう私は笑顔で答えた。

すると、柴乃ちゃんが箸でうどんを掴みながら、呟くように口を開く。


「食欲なくて気持ちが悪いなんて、楓よりも桃子の方が妊娠してるみらい。ほら、つわりのときってそうなるらしいじゃん」


私は経験したことないけどねと付け加えて柴乃ちゃんが自嘲気味に笑う。そして、再びうどんをするすると啜り始めた。

そのとき、ふわっと香ってきたうどんの香りにまたも気持ちが悪くなり、私はそっと手で口を覆った。


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