極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
反対されると思っていたので、賛成されてしまうとこちらの方がなぜか寂しくなってしまった。

突き放されたような、そんな気分になってしまう……。


「まぁ、確かに。少し前の俺なら桃子をそばに置いておきたくて反対していたかもしれない。でも、それは君のためにはならないから。異動するにしてもしないにしても、決めるのは桃子だ」

「社長……」

「俺は桃子の出した答えを応援するよ」


突き放されたわけではなかったのかもしれない。

千紘さんは私の考えを大切にしてくれているんだ。


「……なんてかっこいいこと言ったけど、今の俺には恋人の余裕があるから、そう思えるのかも」

「恋人の余裕ですか?」


その言葉に、私は首を傾げる。

すると、千紘さんがおもむろにイスから立ち上がり、傍らに立つ私の手を取ると自分の方へ引き寄せた。そして、私の耳元に口を寄せる。
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