極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました

「これから常務のところに行ってくるから、ちょっと待っていて。すぐに戻る」


常務室に向かって歩いていく千紘さんの背中を見送ると、私は社長室の中へ入った。瞬間、目の前の光景に思わず目を見開いてしまう。


「これは……」


もしかして、ここだけ台風が通過していったのだろうか。

そう思ってしまうほど社長室は荒れていた。

書棚からはファイルが崩れ落ち、応接用のデスクや床にはファイルから抜き取ったと思われる資料がたくさん散らばっている。

昨日の社長室はこんな状態ではなかったはず。いったい私が不在にしていた午前の間に何が起こったのだろう……。


「お待たせ」


すると、社長室の扉が開き、千紘さんが戻ってきた。

あちこちに書類が散らばっている部屋の様子を唖然とした様子で見ている私に気が付くと、彼は困ったように頭をかく。