極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
「そう考えると、あの個性派揃いの役員をしっかりと束ねているんだから、千紘はやっぱりすごいよ。あいつ、子供の頃からやけに人望が厚いし、不思議とみんなあいつについていきたくなるんだよな」


社長のことを‟千紘”と気軽に呼び捨てできるのは、社員の中では天野室長だけだろう。

というのも、ふたりは同じ歳の三十五歳で、さらに親戚関係にあるそうだ。

幼稚園から始まり、小・中・高と同じ私立の学校へ通い、さらに大学まで一緒。そして、現在も同じ職場で働いているのだから、きっと天野室長はさきほどの自分の言葉通り千紘社長に‟ついていきたくなった”のだろう。


「ああ、そうだ。千紘といえば……」


キーボードを打っていた指を止めて、天野室長がふと私を見つめる。


「社内でおもしろいウワサを聞いたぞ」

「ウワサですか?」


一瞬、それが何なのかわからなかった。

けれど、次の瞬間ハッと気が付き、全力で否定する。

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