極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました

「ふ、ふたりとも落ち着いて」

激しくなっていくトークに焦りを感じてそっと声を掛けるものの、小さな私の声はふたりの耳に届かなかったらしい。


「だいたい柴乃が前の彼氏と別れたのってついこの前じゃなかった？ それなのにもう新しい男ができるなんて信じられない」

「あのね。言っておきますけど、別れたのは最近じゃないから。えっと、二週間前……じゃなくて一週間前だったかな」

「別れた日すら覚えてないの⁉ しかも、二週間前も一週間前も最近のうちに入るから」


目の前で繰り広げられるピリピリとしたトークに、私は入り込めずにオロオロするだけ。

柴乃ちゃんと楓ちゃんと一緒にいると、どうしてか私だけ会話に取り残されてしまうことがよくある。

たぶん、ふたりの性格に私の性格がついていけていないからだと思う。