誘拐は激甘生活の始まりIII
「ダ、ダミアン様!!」

突然本の世界から引きずり出され、杏菜は顔を赤く染める。ダミアンは「読んでてもいいよ」と少し意地悪に笑い、杏菜の首に口付け始めた。

「……ッ!ひゃッ!」

ダミアンに首を舌で舐められたり、じゅっと吸われたりする。首を触れられるなど初めてで、杏菜は本に集中することなどできなくなってしまった。ただ赤い顔をして、ダミアンからのキスに耐え続ける。

「首弱いんだ?可愛いね」

「だって、首なんて触れられることなんてないじゃないですか!」

微笑むダミアンに杏菜がそう言うと、「じゃあまだ慣れていることをしよう」とダミアンの顔が近くなる。今度は唇にキスをされていた。

「んっ……」

「ハアッ……」

何度もキスをされ、杏菜の息が苦しくなっていく。トントンとダミアンの胸板を叩くとようやく解放された。

「杏菜、キス上手になったね」

未だに呼吸を整えている杏菜にダミアンが笑顔で言う。杏菜は「そ、そうですか?」と顔を赤くした。毎日のようにキスをされているからだろうか。
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