誘拐は激甘生活の始まりIII
「さて、そろそろまた仕事を始めようかな。早く終わらせて杏菜とまたキスしたいし」

ダミアンはそう言い、杏菜に軽くキスをしてまた仕事を始める。その真剣な顔を見ていると杏菜は何も言えなくなってしまった。杏菜ももう一度本の世界に入ろうとする。


『本当、君って可愛いよね。またキスしたくなる』

そう言って彼はキスをする。甘い吐息が部屋中に響いているような気がして恥ずかしい。それでも、キスを止めることなんてできない。


続きを読んでいて杏菜は恥ずかしくなっていく。まるでダミアンのような男性が登場する甘々のラブストーリーだからだ。

小説の中で主人公たちがキスをするシーンを読んで、杏菜の唇がまたダミアンのキスをほしがる。体が熱くなっていった。



それから数日後、杏菜の部屋にはダミアンではなく金髪の小柄な可愛らしい女性がいた。メイドとしてこの城で働いているオリビアだ。

杏菜は初めて外に出してもらった日以来、城で働く人と会わせてもらえることが多くなった。そして、歳の近いオリビアをダミアンは話し相手として選んでくれた。ダミアンがいない間は、オリビアが部屋に来てくれる。
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