誘拐は激甘生活の始まりIII
「ならこのネックレス、肌身離さず付けていてね」

出発する前日、杏菜はダミアンからこのネックレスを渡された。可愛らしいデザインに杏菜は「ありがとうございます」と笑う。

「よく似合ってる。綺麗だよ」

そう言われた後、ダミアンに何度もキスをされたのだ。そして何度も「愛している」と言われ、杏菜の頬が赤く染まる。

「素敵な話と言いたいところなんですけど、そのネックレスにはGPSが付けられているんですよね?」

オリビアの問いに杏菜は「そうなの」と頷く。しかし、せっかくダミアンがプレゼントしてくれたものなのだからと杏菜は付けている。

「お二人、とてもお似合いで相思相愛ですよね。婚約会見はいつするんです?」

オリビアの言葉に杏菜は飲んでいた紅茶を吹き出しそうになる。

「ちょ、ちょっとオリビア!何を言って……」

顔を真っ赤にする杏菜に、オリビアは首を傾げる。

「何かおかしいですか?この城の者たちはダミアン様と杏菜様がご結婚されると思っていますよ」

「そ、そうなの……」
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