モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
次の日、朝七時ごろに目を覚ました。眠たくて閉じてしまいそうな目をこすりながら、制服に着替えようとしたところで私は気づく。
――あ、私、停学中なんだった。
急いで準備をする必要がないことに気づき、もう一度ベッドに寝転ぶ。このまま二度寝しても誰にも怒られないなんて、停学も悪くないかも。
しかし、停学中にやることは山ほどある。私は二度寝の誘惑に打ち勝ち、午前中はテキスト課題をすることにした。
朝食をとったあとはしばらく部屋にこもり、ひたすらテキストとにらめっこする。黙々と問題を解くのは思ったより苦痛ですぐに飽きる。これなら、黙って先生の授業を聞いているほうが何倍もマシだ。
停学中は、倉庫の作業以外で学園に行くことは禁止されている。私は昼過ぎくらいの時間帯に、倉庫の修復をすることに決めた。
理事長から提案された特別課題のことは、ほかの生徒や事情を知らない先生はもちろん知らない。理事長以外で知っているのは校長くらいだ。……昨日マルトさんにも誤魔化したとはいえ、課題の話をしてしまった。だけど寮を盛り上げることに、寮母の協力を得ることは必要だと思うので大目に見てもらいたい。
禁止されているにも関わらず、私が学園内をうろうろしているところを誰かに見られてしまうといろいろと面倒だ。なので、理事長は倉庫近くにある裏口から学園へ出入りすることを特別に許可してくれた。
倉庫は学園の敷地内とは言っても、学園自体からはだいぶ離れた場所にある。裏口から出入りする人間などほとんどおらず、古びた倉庫に寄り付くひともいないので、安心して倉庫まで行けるということだ。
昨日マルトさんと話して、もうひとつの特別課題である企画も思いついたし、こっちもなるべく早めに準備しないと。
十二時を過ぎたころ、私はテキストを閉じて倉庫へ向かうことにした。
修復や掃除に必要な道具は昨日のうちに準備して、倉庫内に置いてあると聞いた。想像よりぼろぼろだったらどうしよう。どんな状況でも、やる以外の選択肢は用意されてないけれど。
地図を見ながら裏口にたどり着き、まるで泥棒のようにそーっと学園の敷地内に忍び込む。場所的に、裏庭のさらに奥へと進んだところだ。たしかに、わざわざここまで来る生徒なんていないだろう。辺りを見渡し、誰もいないことを確認すると私は倉庫へと向かった。
言われた通り、倉庫は裏口からすぐのところにあった。
古ぼけすぎて、ある意味存在感を放っている。どこもかしこも綺麗なアルベリクの敷地内に、こんな場違いな建物が残されていたとは……。
どうしてこんなものを今まで放置していたのだろう。放置しすぎて、誰も手をつける気にならなかったのかしら。
ギィ……と音を立てながら倉庫の扉を開けると、中は埃まみれだった。痛んだ木は穴が開いており、歩くたびに床はギシギシと鳴いている。
いらないものはたくさんあるし、泥がこびりついているところもあるし、蜘蛛の巣は張ってるし――。私は貧乏だったから、古い建物に慣れているからいいものの、ほかの令嬢だったら泣いて飛び出していってもおかしくない。
「これは結構たいへんそうね……」
代わりに学費免除という好条件を出してくるだけはある。お金を払えばすぐに修復できるだろうに、変なところをケチるんだから。この放置具合、倉庫の存在ごと忘れていた可能性もありそうだ。
――あ、私、停学中なんだった。
急いで準備をする必要がないことに気づき、もう一度ベッドに寝転ぶ。このまま二度寝しても誰にも怒られないなんて、停学も悪くないかも。
しかし、停学中にやることは山ほどある。私は二度寝の誘惑に打ち勝ち、午前中はテキスト課題をすることにした。
朝食をとったあとはしばらく部屋にこもり、ひたすらテキストとにらめっこする。黙々と問題を解くのは思ったより苦痛ですぐに飽きる。これなら、黙って先生の授業を聞いているほうが何倍もマシだ。
停学中は、倉庫の作業以外で学園に行くことは禁止されている。私は昼過ぎくらいの時間帯に、倉庫の修復をすることに決めた。
理事長から提案された特別課題のことは、ほかの生徒や事情を知らない先生はもちろん知らない。理事長以外で知っているのは校長くらいだ。……昨日マルトさんにも誤魔化したとはいえ、課題の話をしてしまった。だけど寮を盛り上げることに、寮母の協力を得ることは必要だと思うので大目に見てもらいたい。
禁止されているにも関わらず、私が学園内をうろうろしているところを誰かに見られてしまうといろいろと面倒だ。なので、理事長は倉庫近くにある裏口から学園へ出入りすることを特別に許可してくれた。
倉庫は学園の敷地内とは言っても、学園自体からはだいぶ離れた場所にある。裏口から出入りする人間などほとんどおらず、古びた倉庫に寄り付くひともいないので、安心して倉庫まで行けるということだ。
昨日マルトさんと話して、もうひとつの特別課題である企画も思いついたし、こっちもなるべく早めに準備しないと。
十二時を過ぎたころ、私はテキストを閉じて倉庫へ向かうことにした。
修復や掃除に必要な道具は昨日のうちに準備して、倉庫内に置いてあると聞いた。想像よりぼろぼろだったらどうしよう。どんな状況でも、やる以外の選択肢は用意されてないけれど。
地図を見ながら裏口にたどり着き、まるで泥棒のようにそーっと学園の敷地内に忍び込む。場所的に、裏庭のさらに奥へと進んだところだ。たしかに、わざわざここまで来る生徒なんていないだろう。辺りを見渡し、誰もいないことを確認すると私は倉庫へと向かった。
言われた通り、倉庫は裏口からすぐのところにあった。
古ぼけすぎて、ある意味存在感を放っている。どこもかしこも綺麗なアルベリクの敷地内に、こんな場違いな建物が残されていたとは……。
どうしてこんなものを今まで放置していたのだろう。放置しすぎて、誰も手をつける気にならなかったのかしら。
ギィ……と音を立てながら倉庫の扉を開けると、中は埃まみれだった。痛んだ木は穴が開いており、歩くたびに床はギシギシと鳴いている。
いらないものはたくさんあるし、泥がこびりついているところもあるし、蜘蛛の巣は張ってるし――。私は貧乏だったから、古い建物に慣れているからいいものの、ほかの令嬢だったら泣いて飛び出していってもおかしくない。
「これは結構たいへんそうね……」
代わりに学費免除という好条件を出してくるだけはある。お金を払えばすぐに修復できるだろうに、変なところをケチるんだから。この放置具合、倉庫の存在ごと忘れていた可能性もありそうだ。