モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
最初はゴミをまとめて、次に掃き掃除を始める。壊れたところを直すのはその後だ。埃っぽいこの空間をまずはどうにかしないと。
掃除を開始してすぐ、空気の悪さに咳やくしゃみが止まらなくなってきた。このままだと体に影響を及ぼすと思い、私は一度外に出て休憩をする。
窓がないので換気するには扉を開けっぱなしにするしかないし、ある程度片付くまで環境は最悪だ。
心地よい風を受けながら一息ついていると、誰もいないと思っていた裏庭の奥地に、ひとりの男子生徒の姿が見えた。
倉庫からは少し離れた場所で、芝生に直に座りぼーっとしている。
――あれは、同じクラスのレジスだ。
レジス・オリヴェタン。
小説内では名前が何度か登場した程度で、私より出番はなく、もちろんキャライラストもなかったモブ中のモブ。
それにも関わらず、実際見たレジスはかなりのイケメンだった。学園ではマティアスがダントツでモテていたが、見た目だけならレジスがトップといっても過言ではない。手足が長くスラッとした高身長で、そこにいるだけで絵になる美しさを持っている。
あのイケメン大好きなエミリーも、レジスの名前を何度か口にしていた。そういえば、エミリーの代わりにレジスに話しかけにいかされたりもしたわね……。すごく無愛想な態度をとられたっけ。
そもそもレジスが誰かとつるんだり、話しているところを見たことがない。特に女性と話しているところなんて想像がつかない。
クールで孤高のひと、という感じで、見た目の美しさが逆に近寄りがたい雰囲気を倍増させていた。
――まさかあのレジスが、昼休みをこんなところで過ごしているなんて。
ひとりが好きなのだろうか。私もそうだから、気持ちはよくわかる。
ご飯を食べるわけでもなく、ただ座っているだけでなにもしないレジス。そんなレジスに、私は純粋に興味が湧いてきた。
彼が自ら言葉を発しているところも、笑っているところも見たことがない。素性も謎だし……とにかくレジスはミステリアスなのだ。
有名な貴族も誰もレジスのことを知らないし、私自身もオリヴェタンという名前を聞いたことがない。
噂では初等学校の成績優秀者枠で入学したのではないか、と言われていた。
もしかして、庶民だからお昼ご飯を食べるお金がないとか……? それが周りにバレないように、わざわざこんなところで昼休みを過ごしているんじゃ……。
考えれば考えるほど、謎の多いレジスが気になってしょうがない。
思い切って話しかけてもようか。でも、レジスは女性が苦手という噂もあった。いきなり私が話しかけたところで、前と同じで相手にしてくれないだろう。
それに、ここが彼の安らげるお気に入りの場所なんだとしたら、邪魔するようなことはしたくない。
いろいろと考えた結果、私は最終手段を使うことにした。
私が話しかけても反応が期待できないなら――〝もうひとつの姿の私〟になるしかない。
掃除を開始してすぐ、空気の悪さに咳やくしゃみが止まらなくなってきた。このままだと体に影響を及ぼすと思い、私は一度外に出て休憩をする。
窓がないので換気するには扉を開けっぱなしにするしかないし、ある程度片付くまで環境は最悪だ。
心地よい風を受けながら一息ついていると、誰もいないと思っていた裏庭の奥地に、ひとりの男子生徒の姿が見えた。
倉庫からは少し離れた場所で、芝生に直に座りぼーっとしている。
――あれは、同じクラスのレジスだ。
レジス・オリヴェタン。
小説内では名前が何度か登場した程度で、私より出番はなく、もちろんキャライラストもなかったモブ中のモブ。
それにも関わらず、実際見たレジスはかなりのイケメンだった。学園ではマティアスがダントツでモテていたが、見た目だけならレジスがトップといっても過言ではない。手足が長くスラッとした高身長で、そこにいるだけで絵になる美しさを持っている。
あのイケメン大好きなエミリーも、レジスの名前を何度か口にしていた。そういえば、エミリーの代わりにレジスに話しかけにいかされたりもしたわね……。すごく無愛想な態度をとられたっけ。
そもそもレジスが誰かとつるんだり、話しているところを見たことがない。特に女性と話しているところなんて想像がつかない。
クールで孤高のひと、という感じで、見た目の美しさが逆に近寄りがたい雰囲気を倍増させていた。
――まさかあのレジスが、昼休みをこんなところで過ごしているなんて。
ひとりが好きなのだろうか。私もそうだから、気持ちはよくわかる。
ご飯を食べるわけでもなく、ただ座っているだけでなにもしないレジス。そんなレジスに、私は純粋に興味が湧いてきた。
彼が自ら言葉を発しているところも、笑っているところも見たことがない。素性も謎だし……とにかくレジスはミステリアスなのだ。
有名な貴族も誰もレジスのことを知らないし、私自身もオリヴェタンという名前を聞いたことがない。
噂では初等学校の成績優秀者枠で入学したのではないか、と言われていた。
もしかして、庶民だからお昼ご飯を食べるお金がないとか……? それが周りにバレないように、わざわざこんなところで昼休みを過ごしているんじゃ……。
考えれば考えるほど、謎の多いレジスが気になってしょうがない。
思い切って話しかけてもようか。でも、レジスは女性が苦手という噂もあった。いきなり私が話しかけたところで、前と同じで相手にしてくれないだろう。
それに、ここが彼の安らげるお気に入りの場所なんだとしたら、邪魔するようなことはしたくない。
いろいろと考えた結果、私は最終手段を使うことにした。
私が話しかけても反応が期待できないなら――〝もうひとつの姿の私〟になるしかない。