モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
「ありのままの私……。そうよね! 私は、今でも魅力的よね!」
「はい! それに、好みのタイプなんて所詮タイプなだけで、あてになりませんし!」
「……ふふっ! ありがとうフィーナ。実は私、ひとめぼれしたのに今までずっとうまくアピールができなかったの。自信がある素振りを見せてたけど……こんなとこにきちゃうくらい、本当は不安だったのよね。占いのおかげで、前に踏み出せそうな気がするわ!」
さっきの高笑いとちがい、アナベルはとても女性らしく笑いながらそう言った。
「お役に立ててよかったです。こちらこそ、私のお客様第一号になってくださりありがとうございます」
「これからもっとがんばりなさいよね! じゃあ、私は部屋に戻るわ」
アナベル様は私に喝を入れるように背中を軽く叩くと、満足そうにサロンを出て行った。
時計を見ると、ちょうど二十一時を回っていた。
初日はアナベルひとりという結果だったけど……喜んでもらえたみたいでよかった。久しぶりにやった占いも練習したお陰かスムーズにいったし、落ち込まずに対策を練って、徐々に盛り上げられるようにしよう。
サロンを出ると、食堂の隅に見覚えのある人物を見つけ私は驚いた。今まで一度も寮で見たことのないレジスがいたのだ。
――この時間にここにいるってことは、レジスも寮生だったのね。
私と同じようなことを思っているのか、ちらほらと食堂に残っている寮生たちもレジスのことをガン見している。
どうして今日は食堂にいるのか不思議に思いながらも、話しかけるような仲でもないし、私は自分の部屋へ戻ろうした。
「……フィーナ」
そのとき、後ろから声をかけられる。振り向くと、隅っこにいたレジスが私の真後ろまできていた。
え? レジスから私に話しかけてる?
レジスが自ら話しかけるなんて珍事に、ほかの寮生もざわつき始めた。女性が苦手と言われているのに、話しかけている相手が私なことにびっくりしているのだろう。
「レ、レジス様。寮で会うなんて初めてですね」
「お前が今、停学中って聞いて……。俺、なにも知らなかったから学園で会えると思っていたんだ。そしたらいないから、びっくりした。その、なんで停学になったんだ? いろいろ噂になってるけど、俺はお前から聞きたくて」
「……噂っていうのは?」
「先生は家庭の事情だと言ってたけど、同じクラスのやつが、学費未納とか、約束事を破ったとか言いふらしてて」
……エミリーか。学費が払えなくなったと言われているのは覚悟してたけど、余計なことをしゃべるのはやめてほしい。
「なにか困ったことがあるなら、俺はいつでも協力するから」
「え? あ、ありがたいですけど、気持ちだけ受け取っておきます。停学の理由も、噂通りですから」
急に距離を詰めてくるレジスが、なにを考えているのかよくわからない。私がシピとわかっているようには見えないし……どうなってるんだ。
「はい! それに、好みのタイプなんて所詮タイプなだけで、あてになりませんし!」
「……ふふっ! ありがとうフィーナ。実は私、ひとめぼれしたのに今までずっとうまくアピールができなかったの。自信がある素振りを見せてたけど……こんなとこにきちゃうくらい、本当は不安だったのよね。占いのおかげで、前に踏み出せそうな気がするわ!」
さっきの高笑いとちがい、アナベルはとても女性らしく笑いながらそう言った。
「お役に立ててよかったです。こちらこそ、私のお客様第一号になってくださりありがとうございます」
「これからもっとがんばりなさいよね! じゃあ、私は部屋に戻るわ」
アナベル様は私に喝を入れるように背中を軽く叩くと、満足そうにサロンを出て行った。
時計を見ると、ちょうど二十一時を回っていた。
初日はアナベルひとりという結果だったけど……喜んでもらえたみたいでよかった。久しぶりにやった占いも練習したお陰かスムーズにいったし、落ち込まずに対策を練って、徐々に盛り上げられるようにしよう。
サロンを出ると、食堂の隅に見覚えのある人物を見つけ私は驚いた。今まで一度も寮で見たことのないレジスがいたのだ。
――この時間にここにいるってことは、レジスも寮生だったのね。
私と同じようなことを思っているのか、ちらほらと食堂に残っている寮生たちもレジスのことをガン見している。
どうして今日は食堂にいるのか不思議に思いながらも、話しかけるような仲でもないし、私は自分の部屋へ戻ろうした。
「……フィーナ」
そのとき、後ろから声をかけられる。振り向くと、隅っこにいたレジスが私の真後ろまできていた。
え? レジスから私に話しかけてる?
レジスが自ら話しかけるなんて珍事に、ほかの寮生もざわつき始めた。女性が苦手と言われているのに、話しかけている相手が私なことにびっくりしているのだろう。
「レ、レジス様。寮で会うなんて初めてですね」
「お前が今、停学中って聞いて……。俺、なにも知らなかったから学園で会えると思っていたんだ。そしたらいないから、びっくりした。その、なんで停学になったんだ? いろいろ噂になってるけど、俺はお前から聞きたくて」
「……噂っていうのは?」
「先生は家庭の事情だと言ってたけど、同じクラスのやつが、学費未納とか、約束事を破ったとか言いふらしてて」
……エミリーか。学費が払えなくなったと言われているのは覚悟してたけど、余計なことをしゃべるのはやめてほしい。
「なにか困ったことがあるなら、俺はいつでも協力するから」
「え? あ、ありがたいですけど、気持ちだけ受け取っておきます。停学の理由も、噂通りですから」
急に距離を詰めてくるレジスが、なにを考えているのかよくわからない。私がシピとわかっているようには見えないし……どうなってるんだ。