モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
「あの、校長先生。すこーしだけでいいので、停学中の学費を免除してもらえたりしませんか? 私、なんでもしますので! お願いしますっ!」
深々と頭を下げてお願いしてみるが、校長は「無茶を言うな」と一蹴り。
そりゃそうだよな、と思っていると、先ほどから校長の後ろに立って黙って話を聞いていたもうひとりの男性が私に近づいてきた。
「顔を上げなさい」
言われた通り顔を上げると、校長よりも高齢の男性が優しそうに私に微笑みかけた。
「たいへんな事情のようだし、私からひとつ提案があるんだが、どうだろうか?」
「提案、ですか?」
その前に、このひとは何者なのだろうか。教頭先生だとしたら、見たことがあるからわかるはずだし。この場面に立ち会っているということは、それなりに偉いひとなのだろうか。
「停学中に与えられた課題と別に、個人的に君に特別課題を与えてもいいだろうか。それを無事に達成することができれば、寮費はもらうが後期分の学費はいかなる場合でも免除してあげよう」
「ほっ、本当ですか!? 特別課題というのは、どういったことをすればよいのでしょうか?」
言ってみるものだ。後期分の学費が全額免除となれば、退学処分になったとしても、そこまで両親に文句は言われまい。
勝手に話を進め、後ろで慌てる校長をよそに、優しそうな男性は話を進めていく。
男性の言う特別課題の内容はこうだ。
ひとつめは、学園の敷地内にある古ぼけてしまった大きな倉庫を、また活用できるよう綺麗にしてほしいということ。
ふたつめは、最近あまり寮生同士のコミュニケーションがなく、寮に活気がないという声をよく聞く。そのため、停学中になにか寮生たちを盛り上げる企画を自らやってほしいということ。
以上ふたつを学年末パーティーまでにクリアしたら、後期分の学費を免除することを約束してくれた。
「どうだ? やってみるかね?」
「はい! もちろん。やらせていただきます」
「じゃあ交渉成立だ」
ふたつ返事をする私を見て男性は微笑み、私に手を差し出した。握手を交わす私たちを見て、校長が言う。
「理事長、そんなこと勝手にしてよろしいのですか!?」
り、理事長だったの!? やっと男性の正体が判明し、私は妙に納得してしまった。そりゃあ、私にこんなことを提案できるだけの権力があるがずだ。
「まぁまぁ校長。今回は事情が事情だ。彼女は大人たちに振り回された被害者でもあるのだし、チャンスを与えるくらいいいじゃないか。なにかあったら、私が責任を取ろう」
「ですが、ルメルシェ家は彼女が約束を破り、エミリー嬢を怒らせたと言っています。彼女に非があるのはたしかなのですよ」
「うーん。だとしても、最初に援助を申し出たのはルメルシェ家のほうなのだろう?」
「それはその約束を守るという前提で……。というか、そもそも約束っていうのどういった内容だったんだ?」
校長は自分で言いながら疑問に思ったのか、私に約束のことを聞いてきた。理事長も気になるのか、私のほうに目線を向ける。
「さあ。なんでしたっけ。忘れちゃいました」
私は笑顔でふたりにそう答える。
すると校長は心底あきれたように、額に手を当てて大きなため息をついたのだった。
深々と頭を下げてお願いしてみるが、校長は「無茶を言うな」と一蹴り。
そりゃそうだよな、と思っていると、先ほどから校長の後ろに立って黙って話を聞いていたもうひとりの男性が私に近づいてきた。
「顔を上げなさい」
言われた通り顔を上げると、校長よりも高齢の男性が優しそうに私に微笑みかけた。
「たいへんな事情のようだし、私からひとつ提案があるんだが、どうだろうか?」
「提案、ですか?」
その前に、このひとは何者なのだろうか。教頭先生だとしたら、見たことがあるからわかるはずだし。この場面に立ち会っているということは、それなりに偉いひとなのだろうか。
「停学中に与えられた課題と別に、個人的に君に特別課題を与えてもいいだろうか。それを無事に達成することができれば、寮費はもらうが後期分の学費はいかなる場合でも免除してあげよう」
「ほっ、本当ですか!? 特別課題というのは、どういったことをすればよいのでしょうか?」
言ってみるものだ。後期分の学費が全額免除となれば、退学処分になったとしても、そこまで両親に文句は言われまい。
勝手に話を進め、後ろで慌てる校長をよそに、優しそうな男性は話を進めていく。
男性の言う特別課題の内容はこうだ。
ひとつめは、学園の敷地内にある古ぼけてしまった大きな倉庫を、また活用できるよう綺麗にしてほしいということ。
ふたつめは、最近あまり寮生同士のコミュニケーションがなく、寮に活気がないという声をよく聞く。そのため、停学中になにか寮生たちを盛り上げる企画を自らやってほしいということ。
以上ふたつを学年末パーティーまでにクリアしたら、後期分の学費を免除することを約束してくれた。
「どうだ? やってみるかね?」
「はい! もちろん。やらせていただきます」
「じゃあ交渉成立だ」
ふたつ返事をする私を見て男性は微笑み、私に手を差し出した。握手を交わす私たちを見て、校長が言う。
「理事長、そんなこと勝手にしてよろしいのですか!?」
り、理事長だったの!? やっと男性の正体が判明し、私は妙に納得してしまった。そりゃあ、私にこんなことを提案できるだけの権力があるがずだ。
「まぁまぁ校長。今回は事情が事情だ。彼女は大人たちに振り回された被害者でもあるのだし、チャンスを与えるくらいいいじゃないか。なにかあったら、私が責任を取ろう」
「ですが、ルメルシェ家は彼女が約束を破り、エミリー嬢を怒らせたと言っています。彼女に非があるのはたしかなのですよ」
「うーん。だとしても、最初に援助を申し出たのはルメルシェ家のほうなのだろう?」
「それはその約束を守るという前提で……。というか、そもそも約束っていうのどういった内容だったんだ?」
校長は自分で言いながら疑問に思ったのか、私に約束のことを聞いてきた。理事長も気になるのか、私のほうに目線を向ける。
「さあ。なんでしたっけ。忘れちゃいました」
私は笑顔でふたりにそう答える。
すると校長は心底あきれたように、額に手を当てて大きなため息をついたのだった。