モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
「そんな! なにを言うんだ! 俺はフィーナと過ごせてうれしい。停学中のフィーナと学園でこうやって昼休みを一緒に過ごせるなんて、思ってもみなかったからな。だからフィーナが申し訳なく思うことなんてひとつもない!」

 めずらしくレジスが声を張って、私の謝罪を否定した。

「あ、ありがとうレジス。私もうれしいわ」
「……フィーナも?」
「ええ。レジスと過ごせて、うれしい」
「っ!」

 私が笑顔を向けると、レジスの顔がみるみる赤くなる。
 自分でもそのことに気づいているのか、レジスは大きな手で顔を覆うと、私から顔を背けた。
 レジスの反応を見て、私まで恥ずかしくなってくる。でも、せっかくこうしてレジスと一緒にいるのだから、この時間を一秒でも無駄にしたくない。

「そっ、そういえば! もうすぐクリスマスパーティーね!」
「クリスマスパーティー……? ああ、学園主催のやつか」

 新たな話題を振り、会話を続ける。
 私が停学になってから二か月以上が経過して、いつの間にか十二月に突入していた。
 クリスマスには、アルベリク主催のクリスマスパーティーが開かれる。生徒や教師を含める学園関係者は参加自由となっているが、ほとんどの生徒が参加しているという。
 普段話せない別の学年の生徒と交流を持てたり、綺麗に着飾り、お目当ての令息や令嬢にアピールするには絶好の場らしい。

「フィーナは参加するのか?」
「私は停学中だから、そういった催しには参加できないみたい。停学のとき、校長にそう言われたわ」
「……そうなのか。この学園って、案外厳しいんだな」

 私はあまりそういった大勢が集まる場は好きではないので、参加できなくても全然いいのだけど。それに以前あった学園主催の別のパーティーでは、ずっとエミリーの小間使いをさせられた記憶しかないから、パーティー自体にいい思い出がない。
 ただ、レジスが参加するのなら参加したかったなぁ……。レジスの正装姿、絶対にかっこいいだろうし。

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