モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
「あ……話は変わるが、いい機会だからフィーナに聞きたいことがあって」
「うん? なに?」
「この前俺に出してくれたオムライスを、〝特別〟と言っていただろう? その意味を、よかったら教えてほしい」

 レジスが裏メニューを食べたときのことか。あのとき、『いつか教えてくれ』って言われてたっけ。

「あれは私が勝手に特別って思っただけで、レジスからしたら大したことじゃ……」
「それでもいい。教えてくれないか。フィーナが特別と思ってくれたのなら、俺にとっても特別だ」

 うぅっ。こんなにまっすぐな瞳でそう言われると、誤魔化して逃げようなんてことできなくなるじゃない。

「わかった。言うわ。……本来なら、あのオムライスは私とマルトさんがふたりで作っているのだけど、レジスのだけは、私が全部ひとりで作ったものなの。私ひとりで作ったオムライスを食べたのはレジスだけだから……勝手に特別扱いしちゃった」
「……俺だけ?」

 レジスに聞かれ、私はこくんと首を縦に振る。

「そうか。やっぱりそれが特別の意味だったのか」
「……へ? やっぱりって? レジス、わかってたの?」
「いや。まぁ……そうだな」
「ど、どういうこと!?」

 私はレジスの腕を掴み、身を乗り出した。

「あの裏メニューは学園で話題になっていた。俺は自分がオムライスを食べたあとに、ある話を耳に挟んだんだ。寮母のオムライス作りをフィーナが手伝っているとかなんとか……そういった内容だった。そのとき俺は、自分の食べたオムライスがどう特別だったのかに気づいたような気がしたんだ。俺に出されたのは〝フィーナの特製オムライス〟。フィーナがひとりで作ったっていうのは、間違いないとわかっていた」
「そこまでわかってたなら、わざわざ聞かなくてもよかったじゃない……」
「悪い。確認したかったんだ」

 悪いと思っているのなら、そんな緩んだ顔を見せないと思うのだけど。
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