モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
そんなある日、私は令嬢たちからこんな噂を聞いた。
『マティアス様よりかっこいい生徒がいる』。
くわしく聞くと、その生徒は同じクラスのレジス・オリヴェタン。
いつもひとりで行動していて、誰かが話しかけても愛想のない返事をしているところしか見たことがない。あまりよく顔を見たことがなかったので、意識して見てみると――たしかに、とても整った顔立ちをしている。顔だけでいえば、マティアス様よりもかっこいいかもしれない。令嬢たちが騒ぐのも無理はないだろう。
ただ、私はオリヴェタンという名前を貴族の間で聞いたことがなかった。みんなレジスの素性がわからないらしく、ミステリアスなところが余計にレジスを気にかけてしまう理由となった。
しかし、レジスはどんな令嬢が話しかけても平気で無視をする。そのことから、〝女嫌い〟という噂も流れていた。
ないとは思うけど、私が男性に無視をされるなんて場面を誰かに見られたりでもしたら――。そう思い、私はフィーナを使うことにした。私のかわりに、レジスに話しかけにいかせてみたのだ。
適当にあしらわれているフィーナを見て、私はおもわず笑ってしまった。やっぱりフィーナじゃだめだったみたいね。私が直接いかないと。
不愉快にさせたお詫びだけをレジスに伝え、私はフィーナの手を引いてレジスの前から去った。
「フィーナ、全然相手にされてないじゃない」
笑う私を見て、フィーナは大きなため息をついた。
「……なに? 私にそんな態度をとってもいいのかしら?」
「……ごめんなさいエミリー。ちょっと疲れてて」
フィーナは私に憧れの眼差しを向けることはなくなった。
そしてそれからすぐ、レジスは庶民だという噂が立った。アルベリクは僅かだが庶民も通っている。レジスはかっこいいが、高価なものを身に着けているイメージはない。昼休みに食堂にいるところを見かけたこともないし、お金持ちの令息ではないということだ。
庶民となると、婚約者にはしたくない。私にはやっぱり、マティアス様がお似合いだ。
夏休みが終わり、また楽しい学園生活を送ろうと思っていると、私の環境は一気に変わることとなった。
フィーナが私と行動を共にしなくなった。
いつも私についてきて、私の言うことはなんでも聞いていたのに、今のフィーナは私が呼んでも風のようにどこかへ消えていく。
『マティアス様よりかっこいい生徒がいる』。
くわしく聞くと、その生徒は同じクラスのレジス・オリヴェタン。
いつもひとりで行動していて、誰かが話しかけても愛想のない返事をしているところしか見たことがない。あまりよく顔を見たことがなかったので、意識して見てみると――たしかに、とても整った顔立ちをしている。顔だけでいえば、マティアス様よりもかっこいいかもしれない。令嬢たちが騒ぐのも無理はないだろう。
ただ、私はオリヴェタンという名前を貴族の間で聞いたことがなかった。みんなレジスの素性がわからないらしく、ミステリアスなところが余計にレジスを気にかけてしまう理由となった。
しかし、レジスはどんな令嬢が話しかけても平気で無視をする。そのことから、〝女嫌い〟という噂も流れていた。
ないとは思うけど、私が男性に無視をされるなんて場面を誰かに見られたりでもしたら――。そう思い、私はフィーナを使うことにした。私のかわりに、レジスに話しかけにいかせてみたのだ。
適当にあしらわれているフィーナを見て、私はおもわず笑ってしまった。やっぱりフィーナじゃだめだったみたいね。私が直接いかないと。
不愉快にさせたお詫びだけをレジスに伝え、私はフィーナの手を引いてレジスの前から去った。
「フィーナ、全然相手にされてないじゃない」
笑う私を見て、フィーナは大きなため息をついた。
「……なに? 私にそんな態度をとってもいいのかしら?」
「……ごめんなさいエミリー。ちょっと疲れてて」
フィーナは私に憧れの眼差しを向けることはなくなった。
そしてそれからすぐ、レジスは庶民だという噂が立った。アルベリクは僅かだが庶民も通っている。レジスはかっこいいが、高価なものを身に着けているイメージはない。昼休みに食堂にいるところを見かけたこともないし、お金持ちの令息ではないということだ。
庶民となると、婚約者にはしたくない。私にはやっぱり、マティアス様がお似合いだ。
夏休みが終わり、また楽しい学園生活を送ろうと思っていると、私の環境は一気に変わることとなった。
フィーナが私と行動を共にしなくなった。
いつも私についてきて、私の言うことはなんでも聞いていたのに、今のフィーナは私が呼んでも風のようにどこかへ消えていく。